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カルト化雑考 同調圧力3 同調圧力下における下位者の従属行動 [カルト化・マインドコントロール]

前回の同調圧力の記事からだいぶ日が経ってしまった。まず、これまでの要点を書き記す。

・カルト化とは集団心理が引き起こす問題である。
・カルト化被害には、表面化しやすい被害(性的逸脱、暴力、金銭問題、反社会的行為、近隣トラブル、家庭崩壊)と、表面化しにくい被害(精神的苦痛、心的外傷、ストレス性障害、社会不安障害、人間不信、人格崩壊、信仰の破壊、精神の退行)がある。
・カルト化が生じる要因には、同調圧力、役割規範の強化、そして自集団に対する過大評価、の3つがある。

続いて同調圧力について
・同調圧力とは場を支配する「空気」である。
・同調圧力は支配従属関係を強化する。
・同調圧力には積極的な同調(集団の一致や同調を善とする価値観から生まれる同調)と、消極的な同調(集団の不一致や対立などで疲弊してうんざりしている)の両方がある。
・同調圧力が発生するときには、支配者、従属者、そして傍観者、この3つの存在がある。
・傍観者効果は同調圧力を強化する。


さて次に、同調圧力における支配従属関係について述べたい。
同調圧力は支配従属関係を強化する。下位者の従属行動は同調圧力のもとでさらに強化される。

同調圧力においてとる内的態度は、上位者も傍観者も下位者も基本的には同じである。
ただ下位者に特有なのは、集団から被害をこうむる恐れが非常に強いという点である。恐れだけではなく既に何らかの被害を受けているだろう。一方、上位者も傍観者も被害をこうむる恐れは低い。

より問題を深刻化させるのは、下位者が同調圧力の中では、被害をカミングアウトできず、ますます支配従属関係の中に身を委ねてしまうことである。いわゆる「イジメ」の構造である。
ケンカとイジメは異なる。ケンカでは相手に抗う気持ちも出ようが、イジメでは相手に抗う気持ちさえ出ない。ケンカの相手は1~2人であるが、イジメの相手は集団である。ここで傍観者の存在が非常に重くのしかかる。仮に40人の集団において、上位者が1人、下位者が1人、そして傍観者が38人いるとする。上位者1人が下位者1人をいじめているとしても、それは決して1対1のケンカではない。下位者からすれば1対39のイジメに映るのである。これではどんなに腕力や発言力があろうとも、到底かなわないのである。

しばしば「いじめられて抗わない人も悪い」という言い方をする人がいるが、こんな事を言う人は下位者の心理を想像できないのであろう。

ところで何人の相手がいれば下位者は抵抗をやめて唯々諾々と従属するのだろうか。社会心理学者アッシュの実験によれば3人が閾値である。それ以上になっても集団圧力からうける影響はさほど変化がないという(社会的な集団状況における『同調圧力(集団圧力)・役割行動規範』と『個人の判断基準』との葛藤。リファレンス元は調査中)。なおアッシュの実験によればペナルティー(不利益)がなくても同調圧力が軽くなるわけではない。したがって、たとえば単なる意見の相違であっても、3人に囲まれれば同調しやすくなるのである。

しばしばドラマなどでは、1人対3人としてイジメを描写しているが、あれは人間心理をよく表しているのだろう。


まとめ
・同調圧力のもとでは下位者の従属行動はさらに強化される。
・下位者には相手集団に対して恐れが発生する。
・同調圧力が発生するのは1人対3人から。


次は、同調圧力における上位者の支配行動について述べる予定。
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