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パワー・ハラスメントとは [ハラスメント]

教会のカルト化の被害のひとつにパワー・ハラスメントがある。パワハラと略されることも多い。

「パワー・ハラスメント」という言葉は元来は「職場の力関係を利用したハラスメント(いじめ、嫌がらせ)」を指していた。やがて職場に限らず宗教団体・組織でも同様のことが見られるのではないか、ということで広く使われるようになっている。教会のカルト化においてもパワー・ハラスメントの被害は見られる。


パワー・ハラスメントの定義についてはいくつか試みられている。

まずは(株)クオレ・シー・キューブ代表の岡田康子氏の定義。
岡田氏は日本において先駆的にこの問題を取り扱ってきた。この問題をパワー・ハラスメントと命名したのも岡田氏である。
岡田氏によるパワー・ハラスメントの定義は、
職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に、人格や尊厳を侵害する言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること。
とされる。

また「職場のハラスメント研究所」所長の金子雅臣氏による定義は
職場において、地位や人間関係で弱い立場の相手に対して、繰り返し精神的又は肉体的苦痛を与えることにより、結果として働く人たちの権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為。


定義の意図するところや概念はほぼ同じである。

・力関係の利用
・適正な範囲の超過
・継続性
・人権侵害
・精神的苦痛または肉体的苦痛
・職場環境の悪化
これらが上げられる。

上記のポイントを真似て、教会のカルト化におけるパワーハラスメントを定義してみると、
「教会において、力関係を背景として、教会の本来的なあり方を超えて、精神的又は肉体的苦痛を与え、結果的に人格や尊厳を侵害する行為、また教会内の環境を悪化させる行為。」となろうか。


さて力関係の利用という点で言えば、上位者から下位者への流れがパワーハラスメント要素の一つである。
これが逆の場合にはパワー・ハラスメントとは言わないだろう。

たとえば、下図をごらんいただきたい。
ph1.JPG上司から部下へ

ph2.JPG部下から上司へ

両者は似ているけれども同じではない。
力関係のゆえに、部下は上司の依頼を受け付けないという選択は不可能である。しかし上司は部下の依頼を受け付けないという選択も可能である。この場合、部下から上司への仕事の依頼をパワーハラスメントとは言わないだろう(ただし部下が実は社長の息子であったとか、ある種の力関係があるなら話は別である)。

むろん、上司からの依頼がすべてパワー・ハラスメントというわけではない(そこは誤解のないように願いたい)。
パワー・ハラスメントの判断には仕事の適正さ、継続性、人間関係、職場環境、労基遵守度合いなども勘案されなければならない。

ある種の力関係において、下位者は不適正な事柄であってもそれに抗うことが出来ないということが、パワーハラスメント要素の一つである。
(続く)
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